君がため

 

 

 


たとえば僕が死んだなら、あの人は喜んでくれるだろうか…。

「お前なんか死んじゃえばいいのに。」

何度言われた言葉だろう。

「誰もお前の顔など見たくない。」

そう言われ突き飛ばされた事もある。

「あんたなんで…生まれてきたの?」

産んだのは貴女だろう。

「産まれてくれて、ありがとう。」

?

…そんなこと、言われたこともなかった。ホントに、ホントに俺は生きていていいの?

「一緒にいると、心があったかくなるんだぁ。」

そう言ってくれるのは君だけだよ。有り難う。有り難う。

「…どうして一人で逝っちゃうの?」

すまない。君にはもっと生きて欲しいんだ。

「酷いよ…。そんな君なんて、大嫌いだ…。」

あぁ、君になら嫌われても仕方ない。ただ一人僕を愛してくれた人だから。

でも、僕は君にもっと謝らなければならないことがあるんだ。

君は僕を嫌いになっても、僕は君を嫌いになれない。

どうか君は、君だけは幸せになってくれ。

例えその傍らに僕がいなくても、僕は笑って見守るから。

ごめんな。

ありがとう。

さようなら。

ずっと…。

ずっと君を想ってる。

でも、叶うなら……。

君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな
 (君が僕の事を想ってくれるなら、この命だって惜しくないと思ってた。
   でも、いざ君が想ってくれると 少しでも永く、この幸せの中で生きたいと想うようになったんだ。)

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

ん、授業中に暴走してみた。思いつく文章そのまま打っただけという超絶簡単ショートショートストーリー。
嫌われ、蔑まれ、親にまで突き放された男をたった一人の女が愛した。
初めて愛を受けた男は女を愛したが、ある時病で倒れた……そんな感じの作品です。
君がため 惜しからざりし 命さへ  長くもがなと 思ひけるかな
この歌は藤原義孝の歌です。
結構好き&この話に合っているような気がしたので入れてみました。
気に入っちゃったのでHPに載せて見た。