episode 2

 

 

「チィィィィ!!」
「うわっ!?」


突然何かがガリスに飛びついた。
でも彼は、それが何か知っている。


「クリア!出迎えてくれるの?ありがとう!!」


それは、ネズミのような小さな身体に小鳥の羽を持ち、長いふさふさの尻尾をしたクリーム色の動物だった。


クリア。


これがガリスとリティシアが初めて「作った」動物。


そしてもう一人…。


「あっ、ガリス!どうしたの?今日の練習時間はまだでしょう?」


家からクリアを追って出てきたのは、ガリスの相棒、リティシアだった。


黒く長いローブに身を包み、黒いとんがり帽子を被った黒の長い髪を持つ女の子。
手には木の杖。
杖の先には小さなランプがついている。
これが、魂を紡ぐ者にはかかせない道具なのだ。


このランプに魂の元を入れ、それに心を込めるのが魂を紡ぐ者。
その魂を入れる器の人形を作るのが、身を紡ぐ者。
その二つが完成し、二人の力を合わせて魂を器に入れ、初めて「生き物」が完成する。


魂を紡ぐ者は精神、身を紡ぐ者は肉体を消耗しやすい。
一人で全てを担おうと思い、やってみた者も過去にはいた。
しかし、それは成功しなかった。
途中で力尽きたのだ。


それ以来、誰も一人では作らなくなった。


一人で作るより、二人で作る方がお互いの為にもなる。
しかし、先ほども言ったように「相性」というのはとても大切だ。
相性が悪い二人が作ると、それは生き物にならない。
心を持たず、人形でもなく、ただそこにいる肉の塊になる。


「今日はこれを届けに来たから早く来たんだ。おばさん、いる?」
「それって…おばさまの作ったパティ!?うわー、私これ大好きなんだ〜」
「知ってるよ。一杯作ったからって母さんが俺に持たせてくれたんだよ」

「そっか…。今度おばさまにお礼言っておかないと。あっ、それは私がお母さんに渡しておくよ」


そう言って手を差し出すリティシア。
それに了解の意を示すかのように、パティの入った袋を渡すガリス。
袋を受け取ると、リティシアは家の中へと駆けていった。


リティシアの姿が見えなくなると、ガリスの顔を覗き込むようにクリアが飛んだ。


「チィ…?」
「安心しなよ。ちゃんとクリアの分もあるって」
「チィ!」


嬉しそうに鳴くクリア。
パタパタとガリスのまわりを飛び回る。
クリアは元は草食だが、肉でなければ何でも食べるようになっていた。


しばらくしてから、リティシアが帰ってきた。


「おまたせ!お母さんがおばさまに、いつも有り難うございますって伝えておいてって言ってたよ」
「分かった。帰ったら伝えるよ。じゃ、行こうか!」

「うん!」


ガリスとリティシア、そしてクリアは同じ方向へと進み出す。

 

 


次の目的地は、魂の大樹。

 

 

 

 

 

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