久遠 天馬先生。
数学担当。
25歳独身、彼女有。
明るい性格で誰からも好かれるような人。
生徒のこととなると親身になってくれる、俺たちから見て最高の先生。
俺も、先生が大好きだった…。
目が、おかしくなったのか?なにか変な物が見える……。
テ・ン。
何度見てもそう書かれている。
なぜ?
ふと先生と目が合った。どうしたんだ?
という笑顔で俺を見てくる。
「おいおい名月。そんなに見つめられたら先生恥ずかしいだろ〜」
「いやいや、見つめてないし」
「俺が教室に入ってからずっとこっち見てるじゃないか。もしかしたら名月、俺のこと……って思ってたんだぞ」
「ありえないでしょ。変な噂使って俺をいじらないでくださいよ、先生」
「あはは〜、ばれたか。まぁ本当だとしても俺か〜わいい彼女いるしな〜」
不意に隣の席の女子が立ち上がって先生に聞いた。
「え、先生。彼女いなかったらOKだったんですか!?」
「ん〜。考えては見るかもね、相手が名月だったら〜」
キャー キャーと、クラスの女子達が騒ぎ出す。なぜ女はこういう話が好きなのだろう…。
男×男とか気持ち悪いだろう…。
「まぁそれは冗談としてだ…。1時間目はこの俺の授業なのだが、準備できてるのか諸君。準備できてなくても始めちゃうぞ〜」
「え〜、先生もう少し雑談しましょうよ〜」
「だ〜め。俺が校長に怒られちゃうじゃん」
ブーイングの嵐。その中で黙々と勉強道具を取り出す自分。
ふと柊平の席を見ると、そこは空っぽだった。
そして、いつもの日常が始まった。
昼休み。いつもの友人達で昼食をとっていると、突然クラスメイトに呼ばれた。
どうやら、下級生が俺に用事があるらしい。
適当に片づけて廊下に出ると、おとなしい感じの女の子がそこに立っていた。
「俺に用事があるって、君?」
「あ、はい…」
「それで、用事ってなに?」
「あの、えっと……これ、読んでください!!」
そう言って顔を真っ赤にしながら俺に突き出したのは、手紙のようだった。とりあえず受け取ると、顔を真っ赤にしたままでそのまま走って去っていった。
なんだ?と封を開けてみる。
……ラブレターのようだった。
一週間後に返事を聞きに来る、か。
今すぐに言ってあげたのに…。
「ひゅ〜ひゅ〜、和君罪な男だね〜。モッテモテだねぇ〜。羨ましいねぇ…」
「ばーか。好きでもない子から告白されても嬉しくないだろ」
「ということは、好きな子いるんだ?」
「いや、いない」
「……和、恋愛っていいぞ?」
「恋愛語らなくていいぞ?15回も惚れた女に告白して撃沈した男に語られても困るだけだから」
「うわっ、ひどっ。この俺の心をずたずたに引き裂きやがって!お前なんかこうしてやるっ」
そう言って友人の一人が俺にコブラツイストを決める。本気で絞めてないから痛くはない。
「いてて、悪かったって笹野〜」
「けっ、どうせ俺はふられ名人笹野様だっ」
「誰もそこまで言ってないだろ」
二人でふざけあっていると、突然メールが届いた。
「わり、ちょっと席はずすわ」
そう言ってその場を立ち去る。背後から不満そうな声が聞こえるが、聞こえないふり…。
この辺でいいだろうか。そっと携帯を取り出して、メールを開く。
「さあ、殺戮ゲームが始まります。君のすぐそこに、敵は潜んでいます。油断をしていると命を奪われてしまいます。君の後ろには、君の死を待ちかまえている死神がいることを忘れてはいけません。誰も、信じてはならない。参加者諸君。健闘をお祈りしています。 十人の管理者より」
そしてまた、『デス・ゲーム』が始まる……。