なんだ、これ。 デスゲームが始まるって一体…。「名月ー。」
背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
「先生。なんか用っすか?」
「おぅ。ちょっと話あるから、放課後教室に居ろよ?あ、告白とかじゃねーぞ?」
にかっと笑って去っていく天馬先生。
後ろから見ても…やはり見える。
『テン』
俺の最初の対戦相手の名前。
でも、今居るのは現実世界なんだ。
見えるはずがないと首を振り、教室に戻った。
午後の授業は退屈で、つい寝てしまった。
そして、夢をみた。
あのゲームでテンの喉を貫いた瞬間を…。
苦しそうにもがくテンは、しばらくして動かなくなった。
力つきて顔が俺の方に向いた途端、電気が走ったような感覚がした。
その顔は、先生の物だった……。
夢から覚めた俺は呼吸が乱れ、汗をかいていた。
気が付くと、教室には俺以外誰もいなくなっていた。
ふと机の端を見ると、俺が寝ていたので先に帰るという笹野達のメモがあった。
「…起こしてくれればいいのに」
「よく寝たみたいだなぁ」
突然声を掛けられ、振り向く。
教室の前の扉に寄りかかって、先生はそこに立っていた。
……突然声掛けるなよ、驚くから。
「あ、先生」
「まぁ丁度いいか。…お前さ、あのメール届いたか?」
「あのメール?」
「…十人の管理者」
「!何でその事を…。まさか、先生にも届いてたんすか!?」
「そうか…やっぱりお前にも届いてたか…」
まさか、先生がゲーム関係者だったのか?
自己紹介の時 ゲームは苦手だからやらないと言っていた先生が…。
「ナツキ。見えていると思うが、俺は…テンだ」
死神が隣で笑った気がした―――――。