第十一話

 



なんだ、これ。 デスゲームが始まるって一体…。

「名月ー。」

背後から聞き覚えのある声が聞こえた。

「先生。なんか用っすか?」

「おぅ。ちょっと話あるから、放課後教室に居ろよ?あ、告白とかじゃねーぞ?」

にかっと笑って去っていく天馬先生。

後ろから見ても…やはり見える。

『テン』

俺の最初の対戦相手の名前。

でも、今居るのは現実世界なんだ。

見えるはずがないと首を振り、教室に戻った。

 

 

 

 

 

午後の授業は退屈で、つい寝てしまった。

そして、夢をみた。

あのゲームでテンの喉を貫いた瞬間を…。

苦しそうにもがくテンは、しばらくして動かなくなった。

力つきて顔が俺の方に向いた途端、電気が走ったような感覚がした。

その顔は、先生の物だった……。

 

 

 

 

 

夢から覚めた俺は呼吸が乱れ、汗をかいていた。

気が付くと、教室には俺以外誰もいなくなっていた。

ふと机の端を見ると、俺が寝ていたので先に帰るという笹野達のメモがあった。

「…起こしてくれればいいのに」

「よく寝たみたいだなぁ」

突然声を掛けられ、振り向く。

教室の前の扉に寄りかかって、先生はそこに立っていた。

……突然声掛けるなよ、驚くから。

「あ、先生」

「まぁ丁度いいか。…お前さ、あのメール届いたか?」

「あのメール?」

「…十人の管理者」

「!何でその事を…。まさか、先生にも届いてたんすか!?」

「そうか…やっぱりお前にも届いてたか…」

まさか、先生がゲーム関係者だったのか?

自己紹介の時 ゲームは苦手だからやらないと言っていた先生が…。

「ナツキ。見えていると思うが、俺は…テンだ」

 

 

 

 

死神が隣で笑った気がした―――――。

 

 

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