第十四話

 

誰か、死んだのか?

「集中しろ、死ぬぞ?」

再び先生が襲いかかってくる。

それを受け流し、先生を斬りつけようとするが、後ろに跳んで避けられる。

そのまま突こうとすると、今度は左に避けられる。

多少かすったらしく、先生のスーツの袖に切れ目が入った。

「やっぱ強いな。でも、俺も負けねぇぞ。負けられないから…」

そう言って左に避けた反動を利用して回転、そのまま遠心力を使って俺の後頭部を攻撃した。

ダメだ、避けきれないと思った時には、頭に強い衝撃を受けていた。

頭がくらくらする。

立てなくなり、四つん這いになった俺に追い打ちを掛けようとする影が、俺に覆い被さる。

振り下ろされる寸前で、右に転がって避けた。

しかし、俺が逃げたそこは屋上の隅。

目の前には先生。

追 イ 詰 メ ラ レ タ ?

「…名月、最後に何か言い残す事はないか?」

「………先生が俺を殺したら、ここから落としてくれ。母さんには…俺が誰かに殺されたと知って欲しくないから」

「分かった…」

「もし先生が死んだら、俺と同じでいい?」

「お前、まだ勝つ気でいるのか?…まぁいい。その辺はお前に任せるよ」

そう言って真っ直ぐ棍を振り上げる。

「さよならだ、名月」

そして振り下ろされる。

その瞬間に後ろのコンクリートを思い切り蹴る。

姿勢を低くして左下から右上に振り上げる。

先生の振り下ろした棍はコンクリートを叩く。

俺の刀は…先生の体の肉を切り裂く。

血が華のように散った。

その一部が、俺の体や手、目の下に飛び散った。

先生の棍はカランと音を立て、コロコロと転がっていく。

徐々に、持ち主から離れていく。

先生の体は傾き、どさりと言う音を立てて倒れた。

目の下についた先生の血が、まるで涙のように頬を伝った。

 

 

 

もう、後には戻れない―――――。

 

 

 

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