誰か、死んだのか?
「集中しろ、死ぬぞ?」
再び先生が襲いかかってくる。
それを受け流し、先生を斬りつけようとするが、後ろに跳んで避けられる。
そのまま突こうとすると、今度は左に避けられる。
多少かすったらしく、先生のスーツの袖に切れ目が入った。
「やっぱ強いな。でも、俺も負けねぇぞ。負けられないから…」
そう言って左に避けた反動を利用して回転、そのまま遠心力を使って俺の後頭部を攻撃した。
ダメだ、避けきれないと思った時には、頭に強い衝撃を受けていた。
頭がくらくらする。
立てなくなり、四つん這いになった俺に追い打ちを掛けようとする影が、俺に覆い被さる。
振り下ろされる寸前で、右に転がって避けた。
しかし、俺が逃げたそこは屋上の隅。
目の前には先生。
追 イ 詰 メ ラ レ タ ?
「…名月、最後に何か言い残す事はないか?」
「………先生が俺を殺したら、ここから落としてくれ。母さんには…俺が誰かに殺されたと知って欲しくないから」
「分かった…」
「もし先生が死んだら、俺と同じでいい?」
「お前、まだ勝つ気でいるのか?…まぁいい。その辺はお前に任せるよ」
そう言って真っ直ぐ棍を振り上げる。
「さよならだ、名月」
そして振り下ろされる。
その瞬間に後ろのコンクリートを思い切り蹴る。
姿勢を低くして左下から右上に振り上げる。
先生の振り下ろした棍はコンクリートを叩く。
俺の刀は…先生の体の肉を切り裂く。
血が華のように散った。
その一部が、俺の体や手、目の下に飛び散った。
先生の棍はカランと音を立て、コロコロと転がっていく。
徐々に、持ち主から離れていく。
先生の体は傾き、どさりと言う音を立てて倒れた。
目の下についた先生の血が、まるで涙のように頬を伝った。
もう、後には戻れない―――――。